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HIVは変?(その4) [生物]

【ウイルスレセプター】
 一般論として、ウイルスは細胞に感染する時、まず細胞表面の「特定の分子」を選んで
結合する。(この分子をウイルスレセプターなどと呼ぶ。)その結果、特定の生物にしか感
染しない(宿主特異性)とか、特定の組織にしか感染しないという事が起こる。(このよう
な事も含め、特有の指向性や強い好みがある事をトロピズムtropismと言う。)
なにもわざわざ限定せずにどんな細胞にも感染できた方が良さそうなものだが、そこに
は当然と言えば当然の理由がある。
 ウイルスが増殖するには、ほとんど宿主の道具を借りて、宿主の中で決まった手順を踏
める事が必要である。したがって、細胞に侵入したはいいが、必要な道具がそこに無かっ
たり道具の配置が違っていたりしたら、その細胞の中で犬死にするしかなくなってしまう。
そこで、侵入する前に増殖に適した細胞かどうかを見極める必要がある。
 一方、生物の細胞の表面には様々な分子(糖鎖、タンパク、糖タンパクなど)が存在す
る。これらは伝達物質のレセプターであったり、細胞同士が互いを認識する為の標識であ
ったりと、本来はその生物の健全な生存に必要な機能性分子である。別の言い方をすれば
これらはその細胞がどんな働きをするどんな種類の細胞なのかを表しているとも言える。
そこで図々しくもウイルスは、自分に必要な細胞を見分けるのにこれを利用することに
したのだ。つまり当然だが、ウイルスレセプター(受容体)は、もともとウイルスを受容
するためにあったわけではなく、勝手に利用されているに過ぎない。
 一般のレトロウイルスの感染には細胞側にレセプターを1 種類しか必要としないのに対
し、HIVなどの霊長類由来レンチウイルスの感染には2 種類のレセプターを必要とする。
2 つのうち
一つめは、プライマリーレセプター(Primary Receptor)。
       主受容体、メインレセプターともいう。
二つめは、コレセプター(Coreceptor)。
       副受容体、補助受容体、共同受容体ともいう。

 プライマリーレセプターは、全てのHIVに共通で、CD4※である。しかし、
 コレセプターは、HIV-1では、ケモカイン受容体であるCCR5※とCXCR4※の2種類
 があり(注:この2つ以外の分子も報告されてはいる)、その一方としか結合できない
 ウイルスと、どちらとも結合できるウイルスとがあるので、以下のように3通りのウイ
 ルスが存在する。(ちなみにHIV-2 のコレセプターは、CCR8と CXCR4である。)

①マクロファージ指向性ウイルス(R5と呼ぶ)
 CCR5をコレセプターとする。
 CD4陽性のマクロファージで増殖する。
②T細胞株指向性ウイルス(X4と呼ぶ)
 CXCR4をコレセプターとする。
 CD4陽性のナイーブT細胞で増殖する。 
③両細胞指向性ウイルス(R5X4と呼ぶ)
 CCR5とCXCR4の両方をコレセプターとする。
 CD4陽性の全ての細胞で増殖する。

 不思議な事に一人の患者からこの3種類のHIVが発見できる。これは患者の体内で変異を
し続けているためと考えられる。R5ウイルスは、感染期間全体を通じて存在するのに対し、
他の2種はAIDS発症など病態の悪化した時期のみ存在する。

CCR5:(C-C chemokine receptor type 5) 構造的にはGタンパク質共役受容体※の一種。
     白血球表面に存在するケモカイン※受容体。これに結合するケモカインは1つでは
     なく、MIP-1α (CCL3)、MIP-1β(CCL4) 、RANTES (CCL5)の3つである。
     ( )内はケモカインの分類名。
CXCR4:(C-X-C chemokine receptor-4)構造的にはGタンパク質共役受容体の一種。
      特にナイーブT細胞の表面に存在するケモカイン受容体。これに結合するケモカ
      インは、SDF-1(CXCL12)。         ( )内はケモカインの分類名。

Gタンパク質共役受容体(G protein-coupled receptor、GPCR)
細胞膜を7回貫通する特徴的な構造から7回膜貫通型受容体とも呼ばれる。
細胞外の神経伝達物質やホルモンを受容してそのシグナルを細胞内に伝えるのだが、その
際にGタンパク質※と呼ばれる三量体タンパクを介す。
全タンパク質中最大のスーパーファミリーを形成している。GPCRは多くの疾患に関与
しているため、治療薬にはこれをブロックするなどの標的としているものが多い。

Gタンパク質:グアニンヌクレオチド結合タンパク質の略。
         細胞内の生化学的反応を切り替える「スイッチ」として、
         グアノシン三リン酸 (GTP)を
         グアノシン二リン酸 (GDP)へ替える。
ケモカイン (Chemokine) :サイトカイン※の一種で、Gタンパク質共役受容体を介して機
                 能する塩基性タンパク質。Chemoは化学的なという意味だが
                 この場合は白血球の遊走を導くなどする為、走化性の(chemotactic)
                 という語から付いた名称。
                  その構造内のシステイン残基(C)に注目してCC、CXC、C、
                 CX3Cの4つに大別され、50種以上が発見されている。
                  例)CXCにはIL-8(インターロイキン8)などがある。
サイトカイン(cytokine):免疫関連の細胞から分泌され、情報伝達機能を持つタンパク質。
                リンパ球に由来するものはリンフォカイン (lymphokine)ともいう。
               (cyto-)は細胞、(kine)は活性の意味。
インターロイキン(Interleukin、IL):サイトカインの一種。
                      この名称は、白血球(leukocyte から-leukin)が
                      分泌し、細胞間(inter-)コミュニケーションの機
                      能をもつことから付いた。
【HIVに感染しない人】
CCR5遺伝子の突然変異で32塩基の欠損(CCR5-⊿32)がホモ接合型の人は、CCR5が
膜上に発現できないため、CCR5に結合するR5 タイプのHIVウイルスが感染できない。
しかしこのような人でもCXCR4は正常なので、R5X4やX4タイプのHIVウイルスには感
染するはずなのだが、実際には感染者と性行為を繰り返しても感染しない。
 これは、性行為感染において最初の標的となるランゲルハンス細胞※(表皮に存在する樹
状細胞※)が、CCR5しか持っておらずCXCR4は持ってないからだと考えられる。

CCR5欠損は、健康上とくに問題は無いので、これを標的とした抗HIV薬は開発できる。
しかし、CXCR4は造血系、血管形成、神経系等に重要な働きをしているので、これを標的
にした薬は開発できない。
CD4:ヘルパーT細胞※、単球、マクロファージ、樹状細胞などの免疫系細胞の表面に発現
    している糖タンパクのCD※分類名。免疫グロブリンスーパーファミリーに属する。
    細胞内ドメインは、T細胞受容体(TCR)の産生するシグナルを増強する。
    細胞外ドメインは、抗原提示細胞上のMHC-II分子と直接的に結合し、T細胞と抗
    原提示細胞の接着を補強する。
    ヘルパーT細胞※がシグナルを送ると、キラーT細胞※はそれを受けて感染細胞を
    破壊する。
ヘルパーT細胞:helper T cell(Th)。このうちTh1細胞は、IL-2およびIFN-γを産生す
           ることで主にキラーT細胞の働きを補助する。
キラーT細胞:cytotoxic T lymphocyte(TcまたはCTL)。表面にCD8分子を発現してい
         るT細胞から分化して、細胞傷害物質であるパーフォリン、グランザイム、
         TNF (tumor necrosis factor)などを放出したり、標的細胞のFas※を刺激し
         てアポトーシスに陥らせることで異物を攻撃する。
     CTLの一部はメモリーT細胞となって、細胞傷害活性を持ったまま体内
に記憶され、2回目以降の侵入に備える。
細胞傷害活性をまだ持たないナイーブCD8陽性T細胞において、
その表面にあるT細胞受容体(TCR; T cell receptor)が、
抗原提示細胞(APC)のクラスI主要組織適合抗原(MHC-class I)と
同時に共に提示された異物の抗原ペプチドを認識し、
さらに同時に共刺激分子からのシグナルが入ることで、活性化されて初め
て異物の抗原ペプチドを提示する細胞に対する特異的な細胞傷害活性を持
つCTLとなる。

Fas: TNF受容体ファミリーに属するI型 (アミノ末端が細胞外に配向する) 膜貫通蛋白。
細胞外領域はこのファミリーに特徴的なシステインに富むコンパクトなドメイン
構造の繰り返しからなる。
細胞内領域には、いわゆるデスドメインがある。このアミノ酸配列のモチーフは、
I型TNF受容体の細胞内領域をはじめアポトーシスに関与する分子に多く見られる。


ランゲルハンス細胞:表皮に存在する樹状細胞。膵臓のランゲルハンス島とは無関係だが、
           発見者が同一の為に同名になった。

樹状細胞(Dendritic cell):抗原提示細胞として機能する免疫細胞の一種。


CD:cluster of differentiation「白血球分化抗原群」分類。ヒト白血球を主とした様々な
細胞に存在する分子(表面抗原)に結合する「モノクローナル抗体」をクラスタ解析
で分類した国際分類。本来はモノクローナル抗体の分類名あるが、その結合相手の抗
原の名称としても使われ混乱しやすい。
このモノクローナル抗体により分子の違いを見分けることで細胞の違いを細かく
識別できるが、異なったモノクローナル抗体が同じ抗原に結合することがあるため、
同じ抗原を認識する抗体群を、同じ番号(と記号)で国際的に統一したものがこのCD
分類である。
 つまり研究者が細胞を見分ける為に細胞表面の分子を分類しただけであり、その意
味では全く無縁の分子を健康に必須としてひとくくりにしたビタミンという概念と
似ている。

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HIVは変?(その3) [生物]

【HIVの生活環】
①吸着(Attachment)及び融合(fusion)
②脱殻(uncoating)
③逆転写(reverse transcription)
④核への移動(nuclear import)
⑤同化(integration)
⑥プロウイルス
⑦転写(transcription)
⑧翻訳(translation)
⑨移動及び集合(assembly)
⑩カプシドへのRNA収納(RNA encapsidation)
⑪出芽(budding)
⑫成熟(maturation)

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HIVは変?(その2) [生物]

 前回は、HIVの名称と分類に関する紹介でしたが、今回はウイルス粒子そのもの
についての紹介になります。

 ウイルスの一般論:生物界においてウイルスの最も注目すべき特徴は、「小ささを
極めている」という1点に尽きる。その他の特徴の多くはこの事に起因、または理由
づけがなされる。まず構造がシンプルである事。 
 もっともシンプルなウイルスは、「ウイルスゲノム」とそれを格納する「カプシド※」だ
けでできていいて、裸のウイルスとも呼ばれ、ヌクレオカプシド※と同義である。
 これより少し複雑なものは、カプシドの外側を「エンベロープ※」が覆っていて、エン
ベロープウイルスと呼ばれる。
          
※カプシド(capsid):ウイルスゲノムを格納する殻。その構成単位はカプソメア(capsomere)
             というタンパク質。カプソメアは暗黒期※に合成される。カプシドの構造は
             ウイルスゲノムとカプシドとの立体配列により、ラセン対称性、非対称性
             のものがあるが、基本は立方対称性。つまり正十二面体(正五角形だけ
             からなる)や正二十面体(正三角形だけからなる)などの美しい形。カプ
             シドはウイルスが細胞に侵入すると分解される。これを脱殻と呼ぶ。

※ヌクレオカプシド(nucleocapsid):ウイルスゲノムとカプシドの複合体の呼び名。

※エンベロープ (envelope):カプシドを包む膜。エンベロープは、宿主の細胞膜や核膜を被った
                  まま出芽することによって獲得されるため、主成分は宿主の脂質
                  二重膜であり、そこにウイルスのエンベロープタンパク質が加わっ
                  ている。主成分が脂質二重膜であるため、エタノールや、石けんで
                  容易に破壊できる。

※暗黒期(eclipse period):エクリプス、陰性期、暗黒現象とも呼ばれる。ウイルスは細胞に入る
                  と、まず自分を分解するのでその姿が見えなくなる。この期間を暗黒
                 期と呼ぶ。子孫ウイルスの出現により再び観察が可能となる。細菌な
                 ど分裂により増殖する生物はその形態が観察できなくなる期間はなく、
                 暗黒期の存在はウイルスをリケッチアやクラミジアと分ける大きな特徴
                 である。

【HIV】
・レトロウイルス科オルソレトロウイルス亜科レンチウイルス属。
・エンベロープウイルス。
・ビリオン※は、直径約110 nmの球形。ただしその中にあるカプシドは非対称性(お菓子のカプリコ型?)。
・同じプラス鎖の一本鎖RNAを2本持っている。

※ビリオン (virion):成熟(mature)ウイルス粒子の事。感染能力を持つ普段の姿。
             これに対し、宿主から出芽したての姿を未成熟(immature)ウイルス粒子という。

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HIVは変?(その1) [生物]

【HIVとは】
問1)AIDSは何の略か?
   acquired immunodeficiency syndrome(後天性 免疫不全 症候群)

問2)HIVは何の略か?
   human immunodeficiency virus(ヒト 免疫不全 ウイルス)

問3)HIV-1とHIV-2の正式な名称と分類は?
   ウイルス分類は国際ウイルス分類委員会によりごく最近、整備されてきたばかり。
生物の分類法(域界門綱目科属種)とは全く別の概念で、核酸の種類と発現様式に基
づいたものである。
 階級は以下の5つのみで、それぞれの学名は括弧内に示すvirusを変形した語尾がつ
けられる。
目 (order; -virales)    ※目への割り当てはまだ始まったばかり。
科 (family; -viridae)  ※ヴィリダエと読む
亜科 (subfamily; -virinae)
属 (genus; -virus)
種 (species;)
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
HIVでは、科からしか命名されていない。
日本語では、レトロウイルス科オルソレトロウイルス亜科レンチウイルス属。

Retroviridae レトロ ウイルス科
Orthoretrovirinae オルソレトロ ウイルス亜科
Lentivirus レンチ ウイルス属
Human immunodeficiency virus 1 ヒューマンイミュノデフィシェンシー ウイルス ワン 種
Human immunodeficiency virus 2 ヒューマンイミュノデフィシェンシー ウイルス ツー 種
ただし日常的にはタイプワン、タイプツーとか1型、2型と呼ぶ事が多い。

ちなみに、その種が属している「属」の性質を最もよく表す種を1つだけ決め、
Type Species(代表種)と呼ぶが、レンチウイルス属ではHIV-1がそれである。

レンチは、語源の「遅い」の通り、感染から発症までに時間がかかるという意味。


問4)HIV-1とHIV-2はさらに細かく分類されるか?
   分類学では「種」が最終だが、分類学ではなく医学や疫学の必要上HIVでは、変異
  や組み換えによる遺伝子の違いにより、さらに細分される。
種である「タイプ」の下に「グループ」、「サブタイプ」、「サブサブタイプ」、「株」 がある。
「タイプ」の下を全て「サブタイプ」と呼ぶ場合も多い。

問5)HIV-1とHIV-2の「疫学上の」違いは?
 HIV-1に比べHIV-2は感染力、発症率ともに低い。
 HIV-1が全世界に広がっているのに対し、HIV-2はほとんど西アフリカの一部にしか広
がっていない。日本では、平成14年および18年に報告された、外国において感染し国
内で同定されたHIV-2感染症例に続き、平成21年、愛知県における5例のHIV-2感染
症例が報告された。うち3例は来日中のアフリカ系外国人男性であったが、残り2例は
日本人女性で、国内においてアフリカ系外国人男性との性交渉によって感染したと推定
される。
 
問6)HIV-1とHIV-2の「治療法の」違いは?
HIV-1に対してHAART療法(患者に応じて複数の薬を組み合わせる方法)という治療
方法が確立しているが、 HIV-2に対しては治療法がまだ確立していない。
またHIV-2はHIV-1より複製速度が遅い為、ウインドウ・ピリオド(感染から検査で検
出するまでの期間)が長い点にも注意が必要。

問7)HIV-1とHIV-2の「ウイルスとしての」違いは?
  遺伝子構造(コードされている蛋白の種類や数や順序など)はほぼ同じなのに、塩基配
列の相同性は60%程度しかない。これは、おおもとのウイルスは同じであったが、ヒトに
感染するようになるまでの進化の過程で経由してきた宿主の違いによると考えられる。
HIVに進化する直前の先祖はSIV(simian immunodeficiency virus)サル免疫不全ウ
イルス。HIV-1はチンパンジーのSIVから、HIV-2はスーティーマンガベイのSIVから進化
したと思われる。
ちなみに英語ではサルという名詞が複数あるが、スーティーマンガベイは尾の長い小
さいサルでありsimianという語にはそぐわない。
Ape(エイプ)ヒト以外の霊長類
Simian(スィミアン)類人猿
Monkey(モンキー)尾のある小型のサル
チンパンジーもスーティーマンガベイも発病することはない。
しかしアフリカ以外のサルでは発病することがある。

問8)混乱をきたす名称は?
HTLV-III (Human T-lymphotropic virus type III) …アメリカ国立衛生研究所(NIH)
 ヒトTリンパ好性ウイルス
LAV   (Lymphadenopathy-associated virus) …パスツール研究所
        リンパ節症-随伴ウイルス
ARV    (AIDS-associated retrovirus) …カリフォルニア大学
 エイズ-随伴レトロウイルス
別々に発見されたこの3つは実は同じであった為、名称はHIV-1に統一された。
また別に、モンタニエらが発見したLAV-2(Lymphadenopathy-associated virus-2)は、
HIV-2と改名された。
しかし、医者によってはHTLVで覚えてしまっている為、ATL(adult T-cell leukemia,
成人T細胞白血病)の原因ウイルスであるHTLV-Iと混同している事がある。
ちなみにHTLVはHuman T cell leukemia(またはlymphomaリンパ種)virus とも言
い、I, II, III, IVがある。      ※Leukemiaは、ルキミアと発音します。
またHIV試薬の商品名にLAVが使われるなどの名残りも見受けられる。

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共生は変? [生物]

 今日の加山雄三のゆうゆう散歩で、鉄の鱗を持つ生物
が存在するのを初めて知った。深海底熱水活動域で
発見されたスケーリーフットという巻貝だ。そこは当然
の高水圧に加えて、超高温の有毒熱水が噴き出す極限
環境。それを体内に共生させている特殊な微生物に支え
られて生きているという。
 鉄の鱗も驚異的だが、この共生微生物はもっと驚くべき
能力を有する事がそのゲノム解析の成功から判明してき
た。水素やヒトには有毒の硫化水素からエネルギーを取
り出し、それを宿主のスケーリーフットに受け渡す仕組み
も解明されたという。

 今のように環境を維持する事にばかり執着せず、ヒト
も自分を変えて環境の変化に対応していく道を模索して
もいいんじゃないだろうか。その為の有力なパートナー
である共生細菌の研究はもっと盛んになっていい。

カンブリア爆発は変? [生物]

ここ数年、日本酒が好きになり、偶然知ったのが下記。
http://www.jaea.go.jp/02/press2012/p12121001/all.html
 独立行政法人日本原子力研究開発機構が、群馬県とコラボ
して、新しい酒酵母の開発をしたとのこと。

 独立行政法人というと、天下り組織?しかも原子力村?それ
が何で日本酒酵母と関係あるんだよ、と思ったら、放射線を
照射することにより、高率で酵母に突然変異を起こさせ、その
中から優秀な株を選択するノウハウを確立したらしい。
 
 まあ、おいしい日本酒造りに貢献したなら文句は言うまい。

 原子力といえば原発事故がすぐに浮かぶ昨今。
 
 ふと思った。カンブリア紀爆発の原因は地球規模の放射能
汚染だったんじゃないかと。

 なんらかの理由で、致命的でない程度の放射能汚染が起こ
り、それによる遺伝子の突然変異で、動物門の爆発的、分化、
多様化、進化が起きたのではないか?


 

話したいのは変? [生物]

 facebookを創ったザッカ―バーグ君は、
「人間とは、本能的に繋がりたい生き物なのです。」
と言ったとか。
 繋がりたい…というより、喋りたいのではないだろうか?
僕自身、ブログやfacebookに何かしら書きたくなる本能的な
欲求は感じる。
 
 それはつまり、自分が知った事を他者に話したいという欲求。

 情報の共有という種の生き残り戦略が有効にはたらいた結果、
人類に固定された本能なのではないだろうか?

軍用犬ロボットは変? [生物]

完璧な歩行能力を獲得した軍用犬ロボットが公開された。
はじめに見たときは、てっきり「歌舞伎の黒子がやる馬」
だと思った。

「ほっけ柱は変?」
(http://zanki.blog.so-net.ne.jp/2009-09-07)でも書いたが
生き物と機械との境界線はかなり怪しいという実感が、
この映像でさらに強くなった。

http://hinnkaku.wanwan22.com/?eid=1263223

ミトコンドリアは変? [生物]

 先日放映のNHK「サイエンスZERO」で見たミトコンドリア
の映像には興奮した。それはミトコンドリアを蛍光蛋白で染色?
もしくは標識?して、細胞が生きた状態で撮影された動画だ。
 細胞内に根をはるようにびっしりと蛍光を放つミトコンドリアは
よく見ると全てつながっているわけではなく、いろいろな長さのも
のがある。しかも、7倍速の動画とはいえ、それらは活発に動き、
合体したり、切れたりを繰り返している。まるで、ミトコンドリア
は細胞内小器官ではなくそれ自体、ひとつの生き物のようだ。

 こんな映像を見せられると、「細胞内共生説」つまりミトコンド
リアは好気性細菌が、葉緑体は藍藻が原核細胞に取り込まれること
によって真核細胞が出来たという話が説得力をもつ気がする。

 この説のライバルとも言える「膜進化説」の提唱者を恩師とする
私としては複雑な心境だ。

ほっけ柱は変? [生物]

 先日観たNHKの番組は面白かった。
 大量のほっけが群れを成して文字通り柱のようになると、
その水面に渦が生じるという不思議な現象を解明したものだ。
 群れは回転して泳いでいるわけではないのになぜ渦が生じる
のか?それは大量のほっけが上を向いて立ち泳ぎをすることに
より、下降気流ならぬ下降水流が生じた為だった。
 ほっけは浮き袋を持たない為、上を向いて泳いでもなかなか
浮上せず、ヘリコプターのホバリングのような状態になる。水
深を保ったまま尾びれを動かし続ける状態になりやすく、その
ため下へ向く水流が生まれ、さらに渦を生じることになる。
 この渦は、水面近くに多いプランクトンを水深数メートルま
で引きずり降ろす働きをし、その結果、カモメなどの天敵の襲
撃を受けることなく、ほっけがプランクトンを捕食できるとい
う効果を生む。
 こんなウマイ餌の獲り方をほっけが考えてやっているわけも
く、次はどうやってこんな行動が起こるのか考察することにな
る。そこで引っ張り出されてくるのが「Boids」というシミュ
レーションプログラムというか理論。20年以上前にテレビで
観たことがあるが、画面上を動く複数の楕円に、たった三つの
規則(命令?)を最初に設定するだけで、あとは自律的に生き
物の群れのように動くというものだ。
 もともとはバードノイド(鳥もどき)が縮まって「Boids」
という呼び名になったらしいが、私が当時テレビで観たのは魚
群に見えるものだった。その動きのあまりのリアルさに、やは
り生き物は機械となんら変わらない、特別なものでもなんでも
ないのだという確信を持ったのを覚えている。
 その三つの命令とは、
 ①非自己(仲間や障害物)とぶつかるな。
 ②仲間と同じ方向を向け。
 ③群れの重心に向かえ。
というものだ。
 ほっけ柱は、さらに2つの命令を追加することで再現できる
ことが判った。それは
 ④餌に向かえ。
 ⑤餌を食べたら下降しろ。
餌をどう設定したかは判らないが、プランクトンを想定して、
水面付近に浮遊していることにしたのだろう。その結果、通常
は水底付近にいるたらのうち、数匹が水面のプランクトンめが
けて上昇をし始めるのをきっかけに多くのほっけが群れとなっ
て上昇を始め見事にほっけ柱がシュミレーションされた。

 番組ゲスト、水泳の金メダリスト岩崎恭子が、スカーリング
という立ち泳ぎの技術が上達すると綺麗な渦が出来るのだとい
う話を披露したのも面白かった。